斬らなイカ?

武術・武道・日本刀とか。

盛松芬老師「太極十三槍」セミナー

黒竜江省ハルピン市武術協会副主席の盛松芬老師による「楊式太極十三槍」のセミナーに行ってきました。ゲストに趙玉祥老師。主催は太極健身学舎の伊与久先生。

盛松芬老師、ここしばらく日本に滞在されているとこのことで今回のセミナー開催の運びになったとのこと。とても明るく面白い方で、練習中も気軽に声をかけて教えてくださったり、八卦刀や剣の演舞を見せてくださったり、記念撮影では集合写真だけのはずが色々ポーズをつけての撮影会になってしまうなど、とても楽しいセミナーでした。

楊式太極十三槍

楊式太極門に伝わる槍術で、基本的な槍の操法を一連の流れで練習できるように整理された套路(型)です。YouTubeで検索すると動画がいくつか見つかりますが、1分強くらいの短い套路に色々詰まっています。

個々の操法はほぼ形意の槍術でも出てきたものなのですが、「拿」の槍把の位置が身体の横だったり*1、「攔」「拿」「扎」が必ずしもセットでなく、転回→拿→扎とか、はじめ戸惑うところもありました。 また、私レベルではまだまだ理解できていないのですが、形意の遣いかたと太極の遣いかたの差異もあり、とてもできたとは言えないものの、套路は今後も練習していこうと思います。

所感

会場は剣道場で天井も高く良い環境でしたが、参加者20名超ではさすがに結構な密度でした。しかし皆さん練度が高く、事故もなく、とても良いセミナーでした。

盛松芬老師は休憩もなしに繰り返し繰り返し、常にご自分で手本を示しながら教えていただき、また、所々でその技・操法の意味を交えていただく等、教え方としても大変ためになりました。

盛松芬老師・趙玉祥老師をはじめ、関係者・参加者の皆さん、ありがとうございました。おさらい会の開催、期待して待ってます!

参考

趙玉祥老師のDVD。槍の操法や、形意梅花槍の表演が収録されています。伊与久先生も出られていると懇親会で聞いたので見直さなければ。

趙玉祥老師 中国伝統武器術 [DVD]

趙玉祥老師 中国伝統武器術 [DVD]

*1:大槍で遣うことを念頭に置かれているのかも?

西洋甲冑勉強会に行ってきました

西洋甲冑勉強会・第1回*1に行ってきました。 「勉強会」と銘打たれていますが、昨年秋出版された書籍『西洋甲冑入門』をベースに著者自ら質疑応答&雑談するという、気楽な雰囲気のもの。

参加者も、絵描きさん・歴史好き・ヘヴィファイト競技者と様々、質問の方向性も様々で、とても楽しい会でした。

写真とイラストで見る西洋甲冑入門~三浦權利作品集~

写真とイラストで見る西洋甲冑入門~三浦權利作品集~

この書籍自体、とても奥深く複雑な「西洋甲冑」の世界に、まさに「入門」するための基礎知識が整理されて書かれたものです。内容のレベル的位置づけは著者様のブログエントリにも書かれています。

armourer.blog64.fc2.com

以下、時系列でなく、ある程度カテゴライズしたメモ書きです。書籍の内容を前提で書いていますので、説明の足りないところはぜひ書籍を買って合わせてご覧ください。

紹介されている鎧について

掲載されている中で、馬上鎧のウェイトが歩兵鎧に比べて大きいことについて。

  • 数としては、粗末な歩兵鎧はたくさん作られたが、現存していないか、美術館のバックヤードに眠っている
    • 粗末なものは、鉄材として潰された。当時鋼鉄は高価であり(現在のチタンくらい?)、鎧の制作費の半分ほどが材料費だった
    • 残っていても、痛みなどを修繕して展示するほどの集客力もないため死蔵される
  • 貴族・騎士が高価な鎧を作り、戦場および馬上槍トーナメントで使用したものが現存している
  • 戦場用・トーナメント用はコンバーチブルであり、パーツを付け替えて同じものを着用するのが多かった

槍掛(ランスレスト)

p.13の写真などの右胸についている槍掛の使いかたについて。

  • 馬上槍は時代とともに長くなり、十字軍末期に3〜4mほどになるとかなり重かった
  • 右脇に抱え持った状態で右胸の槍掛に置くことで胴鎧に重さを預けることができ(腋窩と槍掛の二点で支える)、右手でコントロールできた
  • 槍の穂先は左前を向く。相手とは右側通行ですれ違い、左の敵を攻撃する
  • 当初は左手の盾に切り欠きがあり、そこに乗せたりもした
  • 16世紀ごろには槍掛が当たり前に
  • 現存する鎧のうち、半数ほどは紛失して取り付け穴だけ残っている

p.52の右側の絵、右肘の後ろに描かれてるものは何か。

  • 槍掛の補助具。槍掛から後ろに70cmくらい突き出ている。腋窩でなく、ここと槍掛の二点で槍を支える
  • この鎧は馬上槍競技専用で、15kgくらいの折れない槍を使うレギュレーション
  • その他、安全性向上のため非常に厚いプレートで、左腕などは固定されて動かせない

マクシミリアン式甲冑

  • このタイプが作られたのは、1505〜1525年の20年間くらいしかない。昆虫でいうとサナギのような期間
  • 近接武器に対する防御力のピーク
  • 1520年ごろ銃が量産され(イタリア戦争後期*2)、鎧はルネサンス式が主流となる
  • これに並行して兜もアーメットからバーゴネットに移り変わる
    • 近接戦闘が減り、広い視界が必要となった
    • しかし、顔の防御と広い視界はトレードオフなので、その後もトレンドは繰り返された

青み付け(ブルーイング)

p.39左上のような青み付けについて

  • 現代(19世紀以降)は、薬品を塗って焼くことでキレイな青になる。車の改造マフラーなどに見られる。
  • 当時はヒーティング(炙る)だけで青くしていた
    • 青になる特定の温度で炙る技術が必要だった
  • 金メッキには、金アマルガム法が使われた。単に金箔を貼っても削れてしまうため、金と水銀を混ぜて塗って加熱し水銀を飛ばすことで定着させる
    • 職人は水銀中毒で死ぬ
  • 意味は装飾だけで、性能には関係ない
  • 青み付けおよび金メッキは大変流行し、当時ほぼ全ての鎧が青+金だった
    • 酸化皮膜は劣化・変色するので、現存するものは落として地金の色になっている

装飾について

  • ルネサンス期は鎧の性能面はすでに打ち止めで、装飾面にのみ技術が向けられた
    • むしろメカニズムを簡略化して、例えば草摺を1枚の板で済ませる代わり、装飾で4枚に見せたり
  • 青み付け・金メッキ以外にも例えば、
    • エッチング
    • パーツの縁取りを細かい銀のリベットで行なう
  • 装飾のすごいものも、飾るためでなく戦場やトーナメントで使われたらしい。他人に見せて自慢する文化。
  • p.53のパレード用甲冑は「鉄でできた服」でありパレード専用。とても薄く、現存しているものはすり減って穴が空くくらい
  • とは言え、マクシミリアン式以前も実用性のみを求めていたわけではない。それでは爆弾処理班のような鎧になっていたはず

手甲(ガントレット)の変遷

  • メイル*3の時代は、手袋状のメイル
  • コート・オブ・プレート(小札)の要領で、手の甲から始まって少しづつ指までプレートで保護するようになったのではないか
  • ゴシック式(ドイツ)では5本指
  • 15世紀初頭はミトン状のものが主流。防御力はこちらのほうが優れている
  • ルネサンス期には銃などを扱う必要性もあり再び5本指に

兜の鶏冠

  • 1枚の板金から打ち出していた時代、鶏冠を大きくすると薄く脆くなるため、職人の技術を誇示する意図があり大きくなっていったと思われる
  • アーメットでは可動式の面頬など前面の重量が大きくなるが、鶏冠が大きく後頭部方向に貼り出すことでカウンターウエイトとなりバランスが取れていた*4
    • どこまで意図されたものかはわからないが、結果的にそうなった

肩当

p.6左の写真などで首鎧から上向きに延びている棒状の部品は何か(冠板ではない)

  • 首鎧に棒状の部品、肩当に穴が開いており、これをはめて接合した
  • ゴシック式以前は革紐などで固定していた

肩当(上腕部)の構造について

  • 上腕部を保護する部分はプレート4枚をつなげている(写真は15世紀後期を想定した作例)
    • 正面側(写真右方向)は収縮する必要があるので革でつないである
    • 背中側(写真左方向)は収縮しなくていいのでリベットで止まっている。ただし、ある程度の可動域のあるスライディングリベット
    • すべて革だとめくれてしまうが、この構造であればめくれない

肩当の外側肩当の内側
肩当(左上腕部)

情報収集について

  • 日本国内は歴史的なものはほぼ流通してない。実物を入手したいならインターネットオークションなど。ただし高価
  • ネット検索するときは、辞典にある正式名称を使うことでノイズを避ける
    • 英語よりも、その時代のその国の言葉で検索するのが最も一次情報に近付けるはず
    • 書籍のp.56-57に表がある
  • 研究が進んだのは、インターネットおよびSNSが使われだしたここ5〜10年なので、記事の書かれた日付は重要
  • 基礎から学んでいく、という方式は、この分野では情報が膨大なので迷子になりやすい。まず求めているものをピンポイントで見つけ、それが理解できないならば、少しやさしく書いてある文献を探す、というアプローチがよいのではないか。最低限の知識は『西洋甲冑入門』で得られるはず
  • 映画などでは考証の正しいものは特に思いつかない。それが悪いわけではなく、娯楽なので正しいことが良いわけではない
    • 『ROCK YOU!』では、首鎧をつけてないのが気になって仕方なかった

ロック・ユー! [Blu-ray]

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所感

『西洋甲冑入門』はページの都合もあって掲載できた情報は限られたということもあり、参加者の「そこからか」レベルの質問(当然、私も含みます)にも丁寧に回答していただき、あっと言う間に3時間が過ぎました。

一口に「入門」と言っても難しく、私の本業であるソフトウェアの世界でも「入門」本はまさに玉石混淆ですが、西洋甲冑という広く深い分野でこのサイズにまとまっている本書が、改めて良い構成・ボリュームになっていることを実感しました。

その上で、書籍で完結するのではなく、こういった勉強会で色々質問できる機会をいただけるというのは大変ありがたいことです*5

5月3日に第2回も予定されていますので、ご興味を持たれた方はぜひ。私も行きたいけどまだ微妙。 armourer.blog64.fc2.com

また、連休中にこんなイベントもやるそうです。 armourer.blog64.fc2.com

関連

フルカラー改訂増補版 西洋甲冑 ポーズ&アクション集

フルカラー改訂増補版 西洋甲冑 ポーズ&アクション集

図説 西洋甲冑武器事典

図説 西洋甲冑武器事典

*1:昨年『出版記念・雑談&勉強会』が開催されているので、通算2回目?

*2:ご指摘により修正しました

*3:チェーンメイル、メイルアーマーなどとも呼ばれますが、正しい表現ではないようなので。詳しくは書籍とか参照。

*4:VRヘッドマウントディスプレイのような話

*5:次に本業で入門書を書く機会があったら真似したい

形意梅花槍 講習会

2/3に開催された『形意梅花槍<限定公開>講習会IN文京』に参加してきました。山西派車氏形意門正宗・趙玉祥老師伝の梅花槍の講習会で、主催は旺龍堂の小幡師。

昨年参加させていただいた『形意五行槍』は5種類の槍の操法でしたが、今回の梅花槍は長めの套路(型)です。限定公開*1ということで、参加者は過去の講習会で梅花槍を習ったことのある方がほとんど(というか私以外…)でした。

nowsprinting-ma.hatenablog.com

基礎練習

まず、基礎の基礎である「攔」「拿」「扎」から、槍を身体の横で回転させる「五花*2」や、槍把を前に送って背後を刺す「穿槍」という操法を練習。

これらは套路の中に出てくるもので、ウォーミングアップも兼ねてという感じで。

形意梅花槍

どのような套路かはYoutubeの動画を見ていただければわかるのですが、いただいた資料では50手。基本的な技や形意五行槍の技の組み合わせなのですが、そう簡単には順番すら覚えられず。

途中何度か「五花」による技のつなぎがあるのと、後ろを突く攻撃、相手の足への攻撃が多いと感じました。 が、他の門派の套路を知らないので、槍とはこういうものであって形意梅花槍の特徴ではないかも知れません。小幡師も「そもそも長柄の武器は足を狙うものだ」と仰られていました。

その他、薙いだり、上から叩き切ったり(劈)、柄の側で叩いたりと、多彩な操法が練り込まれていてとても面白く、また(槍が日常的にある前提で)とても実用的な套路という印象。

所感

套路のボリュームは八卦*3とほぼ同じ(やや少なめ?)に感じましたが、今回は時間が短いこともあり、五行槍を練習してなかったらついて行けなかったと思います。改めて、今回は<限定公開>なのに納得。

武器、特に長モノは習える機会も少なく、あまり人目につかないように(通報されないように!)練習するのも一苦労です。しかし、身体で振る、腰・背中を使う、背面の筋肉(伸筋)で扱う、手の内を柔らかく使う、といったことを身につけるのにとても良いと感じています。

槍の扱いは、半年ほど前にはじめて槍を扱ったときに比べれば身体で振れるようになってきた感はあります。でも、まだまだ槍に勁を通すまで行かず、先は長いです。

参考

小幡師による形意梅花槍の動画

www.youtube.com

小幡師の師である趙玉祥老師のDVD。梅花槍の表演が収録されています。

趙玉祥老師 中国伝統武器術 [DVD]

趙玉祥老師 中国伝統武器術 [DVD]

拳児』の外伝。李書文なので八極拳ですが。

*1:今回は場所確保の関係で短時間なので限定としたそうなので、いつかまた限定でない講習会は開催されるはず

*2:「舞花」と音が同じ(Wǔ huā)なのですが梅花槍ではこちらの字をあてているそうです。梅花にちなんで「五花」なのか、逆に、五花を多用するから「梅花」槍なのかも知れません。

*3:ブログに書いてなかったことに気づきましたが、同様に1日がかりの特別講習会がありました

『武蔵流剣術』DVDフォローアップ体験会に行ってきました

10/28に開催された、高無宝良先生の『高無宝良 武蔵流剣術 - 宮本武蔵の二刀流 実技とその変遷』DVDフォローアップ体験会に行ってきました。

DVDは今年5月に発売された、二天一流および二天流の技法、コンセプト、稽古方法などを収録されたものです。今回はその内容を実際に体験できる*1という貴重な会でした。

DVDについてはレビューを書いているので、こちらも参照してください。

nowsprinting-ma.hatenablog.com

体験会の流れ

先のレビューの通り、このDVDでは型の紹介から入るのではなく、二刀で戦う上でのコンセプトとしてまず「十字受」の技法を紹介し、そのバリエーションや受けからの変化を中心に据えた構成になっています。

従って体験会も、ウォームアップとして素振りと歩法の後、十字受とそのバリエーションを二人一組で稽古するという流れでした。

また、これは途中でお話されたのですが、相手の太刀筋や間合い(拍子・タイミングと同義)によって色々と応じ方はあるが、判断*2つかない場合は正面で十字受してそのまま押しきる、とのこと。 この、"other"の選択肢を基礎として最初に稽古するのはとても理にかなっていると思います。

十字受

DVD収録順とは異なり、まず二天流の十字受から。これは武蔵の壮年期の技であり、後年の二天一流の技に比べて身体を大きく使うものです。その後、二天一流の"静かな"十字受に入りましたが、基本的な身体の使いかたは同じであることを強調されていました。

左右の刀で相手の攻撃を"体の中心で"受けるというのは意外と難しいのですが*3、中心で受けることができてはじめて、そこから適切な変化ができるわけです。かなり鍛錬し応えのある技だと感じました。

ちなみに、たまたま袈裟斬りに対する十字受のときに高無先生に相手をしていただいたのですが、私の袈裟斬りを先生がぴったりと中心で受け止められたときの感覚がとにかく「すごい」の一言で、とても良い経験をさせていただきました。

越す拍子、付ける拍子

「越す拍子」は、遠い間合いで相手が自分の刀を打払いにくるという想定で、この想定自体は英信流の組太刀にもありますが、これを外して下向きに十字受するのは二刀特有で新鮮でした。とにかくこのシチュエーションで体をかわしたり入身になったりしないのは二刀ならではでしょう。

また「付ける拍子」は、通常の下段ではなく、両刀を下ろした構え(武蔵の肖像画にあるあれ)によって起こりうる近い間合いだと思うのですが、これも非常に二刀の特性が出ている技で面白いものでした。

突きに対する十字受

最後に、一人一回ずつでしたが、槍による突きを十字受して詰めるという体験もできました。基本通りの十字受で突きにも対処できるというものですが、突きを身体で避けてしまうとかえって引き込んでしまうなど、メンタルが試される部分もありそうでした。

所感

DVDのコンセプトもとても良いものでしたが、さらに今回のような体験会が開催されるのは大変ありがたく、ぜひさらに反響があって第二回も企画されると嬉しいな、と思いこれを書いています。

全体に良い雰囲気でしたし、懇親会でも色々な流派の方と武術の話ができ、とてもとても有意義な会でした。高無先生ならびに関係者、参加者の皆様、ありがとうございました。

*1:しかもDVD購入者にはわずか¥1,000で!

*2:頭で考えて判断するわけではないのですが、いい表現がなかったのでこのままで

*3:ひとつ言い訳をすると、持参した小刀が二刀で使うものより短かったため中心で捉えるのがより難しかった、というのはありますが、言い訳。

形意五行槍 特別講習会

9/16に開催された『形意五行槍 特別講習会IN文京』に参加してきました。主催は旺龍堂の小幡師。

形意拳(Xing Yi Quan)の開祖、姫際可(Ji Jike)は槍の名手で、形意拳の代表的な技である『五行拳』は槍術をベースに作られているそうです。その槍術が本講習会で教えて頂いた『形意五行槍』とのこと。

攔・拿・扎

五行槍に先立って、槍の基本的な操法の練習と、「攔」「拿」「扎」という、内転・外転の巻き落としから突き込む動作を練習。

「攔」「拿」「扎」は中国槍術には共通する動作のようですが、形意拳内家拳なので、大きな動作でなく、内力を使った(見た目は)コンパクトな「攔」「拿」を行なうのが本来とのこと。今回は初心者向けなので、基礎的な動作で教えていただきました。

立ち方や歩法は形意五行拳とほぼ同じらしく、私は見よう見まねで*1

形意五行槍

五行槍は套路ではなく「劈槍」「崩槍」「鑽槍」「炮槍」「横槍」という5種の槍の操法で、それぞれ若干のバリエーションがあります。

それぞれ順番に、対応する形意五行拳の紹介*2に続いて槍の操法の解説、そして練習という流れで進んでいきました。個々の技だけでなく、前に進んで折り返すときの「回身法」もそれぞれに決まっており、たった5種類とは言えないボリュームでした。

まず長柄の武器をちゃんと扱う(腕力でなく体幹で扱う)ことが難しく、さらに「炮槍」の穂先を回転させる動作などはとても一朝一夕ではできないものです。

人数も多かったので、練習は3班に分かれて順番に。つまり見取り稽古の余裕があったのですが、槍の扱いになかなか慣れないこともあって順番を通すだけで精一杯。

所感

小幡師は、武器術に共通する事項として、丹田・腰の気を充実・安定させ、他は柔らかく使うということを強調されていました。

私、刀より重いものを振り回したことが無かったもので、(さすがに槍に振り回されることは無いものの)腕力で振っている感触がありました。より良い身体の使いかたを身につけるためにも、しばらく公園などで稽古していこうと思います。また、そんな目的で練るのにちょうど良いボリューム*3であるように思いました。

書き忘れていたので追記。純粋に、武器術楽しいです。長柄を振り回すの楽しいです。

参考

小幡師による形意五行槍の動画

www.youtube.com

小幡師の師である趙玉祥老師のDVD。内家拳の「攔」「拿」「扎」についてや、梅花槍の表演が収録されています。

趙玉祥老師 中国伝統武器術 [DVD]

趙玉祥老師 中国伝統武器術 [DVD]

*1:他の参加者の方は形意拳経験者っぽい方が多かった模様。私は全くの素人です

*2:他の門派の形意拳を学んでいる方がいることもあり、小幡師の山西派車氏形意拳の技を比較のために表演

*3:技の種類という意味です。奥は深そうなので…。

東アジア武術国際会議2017 参加メモ

9/10に開催された『東アジア武術国際会議2017』(主催:東アジア武術・武道フォーラム)に行ってきたので、雑ですが聴講メモ。

このカンファレンスは、東アジア武術(日本・中国・韓国の武術・武道)をターゲットに、武術性(実用性)と応用性の観点から今後の進むべき道を考える、という趣旨のもと開催されました。

大きく3つのセッションがあり、日本武道の武術性とスポーツ化について、中国・韓国の武術について、武術人口の減少と今後について、それぞれ有識者により語られました。

なぜ武術性を問うのか? 武術・武道研究の根本問題

志々田文明先生の全体基調講演から。

  • 戦後、武道の禁止期間を経て、武道に実用性は不要という倫理的規範ができあがった。試合では勝利主義に傾き、型稽古は正確に動くことにこだわる形式主義や衒いが生じて本質から遠ざかる傾向がある。
  • 価値の多様性。オリンピック競技大会を志向することによる経済的価値、実用性の維持を志向することによる芸道的な文化価値。多様性は良いことだが、実用性という本質は大事。
  • 今回は方向付けは意図しておらず、多様性、揺らぎを考える場にしたい
  • 根本問題として、各流派・門派で閉じられた伝承もあるため、揺らぎを把握する以前に比較・分類が難しい
  • 名前をつけることで理解できる一方、名前に縛られる

シンポジウム1:日本武術・武道における武術性の問題

基調講演:武術の実用性とその応用

大保木輝雄先生

  • 剣術・剣道は、時代に見合った実用性を模索してきた
    • 実戦文化(15〜17世紀):護身、戦闘において勝つ技術
    • 芸道文化(17〜18世紀):江戸時代の武士が身につける剣術。「身を捨てて」勝ちを得るのが武士のあるべき姿
    • 競技文化(19〜20世紀):武士道(明治武士道)の体現、その教育手段としての武道
  • 実戦・芸道・競技の3つの実用性が技能評価の「一本」に集約されている。「一本」の意味と価値を問い続けることが武道の本質に迫ることになる。

日本の剣術・剣道における形技法と競技技法の実用性について

加藤純一先生

  • 武術の分類。武器か素手か、対人的か型か
  • 中世〜近世、型剣術。流派ごとの型
  • 近世〜近代、江戸中期に「しない打ち剣術」が誕生。「きる」から「うつ」に。
  • 現実(生死)→虚構(安全性の確保)
    • 斬り合い→型剣術→しない打ち剣術→現代剣道
  • 甲陽軍鑑』にある「脇指心」。しない打ち剣術でも、斬る意識は内包していた
  • 明治になり、現実的に斬らない世界。ふたつの選択肢
    • うつに特化 → しない競技
    • きる心を残す
  • 現在、全日本剣道連盟では「日本剣道形」や「木刀による剣道基本技稽古法」で、刃筋や鎬の使いかたを指導している

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展示された「しない打ち剣術」で使われた防具

柔術・柔道史おける武術性の問題:柔術試合・嘉納治五郎・富木謙治

中嶋哲也先生

  • 柔術・柔道の試合において、当身技を使用できない問題
  • 幕末、柔術も試合をしている
    • 嘉納治五郎が学んだ天神真楊流起倒流は多く試合を行ない記録を残している
    • 試合記録から、当身は使ってなさそう(決まり手として出てこない)
    • 当身は日常(喧嘩・護身)用、戦場では「組討」が重要
    • 当身は有効だが、試合で死傷は困る
  • 「崩し」の発見。打撃としての当身から、崩して倒す当身へ

鍔迫り合いに見る剣術と柔術の接点:剣術の中に潜在する柔術性を考察する

佐藤忠之先生

  • 嘉納治五郎「柔道は剣を持てば剣道になる」「柔道の中に剣道がある」
  • 柔術(道)の間合い、剣術(道)の間合い。その中間に「体当たり」「鍔迫り合い」「体押し」がある
    • 相手を崩す理論は、柔道と一致する
  • 柔道では間合いが近いので目付けに言及されないが、剣道的視点を持つこと習得できる(遠山の目付け)

討論

  • 技をかけるとき、針の穴に糸を通す瞬間がある
  • 「刀道」でなく「剣道」であるということ
    • 剣とは反りのない両刃のもの。文殊菩薩が持っている。悪を断つ意味(外部的にも、内面的にも。両刃なので自分にも刃が向いている)
    • 剣道では刀を使うが、剣の持つ意味を踏まえて「剣道」となった
    • 刀の場合、自分のほうを向いてる刃は相手の刃。相手と自分のセットで剣の意味を持つ
  • 死を覚悟できるかが、実用性のポイントではないか?
    • 新陰流の合撃(がっしうち)
  • 柔道は護身を実用性と言えるが、剣道では傘などで護身するのか、それを実用性と言うのか
  • 剣道では「打つ」と指導。「斬る」を避けてきた?(考えないようにしてきた?)
    • 子供が「人を斬るために剣道をやっているのではない」と言った
  • 教育的な実用性は「有益性」と考えるべき。実用性とは分けて考える
  • 剣道は最悪の事態を想定している。それを体験しておくことで、日常の事態には対処できる
  • 一本
    • 剣道:以前は、勝敗より、良い一本がでることが大事とする人が多かった。大会後も「あの一本が良かった」等。
    • 柔道:以前は、粘って掛けた大外刈りなどの一本は恥ずかしいという意識。強引な技は一本を取らない審判もいた。
    • 武術性は本来の「一本」の追求にあるのでは

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招待講演1:Heritage and the future of East Asian Martial Arts in the development of preventive and therapeutic agonology

Archives of Budo 編集長でもあるローマン・M.カリーナ(Roman M. Kalina)教授

  • すべてのコンバット・スポーツは、フェイス・トゥ・フェイス
  • 現代人はモバイル・インターネットの奴隷。バーチャル・リアリティの世界に生きている
  • 現代人はテクノロジーをコントロールできているのか? もしくはその逆か?
  • MMA、ブラッド・スポーツ、サッカーでも乱闘につながる
  • アゴノロジー(予防と治療の包括的理論?)
    • このあたり知識不足で書き様が無く割愛。申し訳ない。論文読まないと。

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シンポジウム2:中国・韓国武術における武術性の問題

基調講演:誰の、何のための武術か? ― 東アジア武術の比較枠組みを求めて

池本淳一先生

  • 日本では、武道=武士=支配階級のもの
  • 中国では、重文軽武。武術は庶民の准軍事力
  • 中華民国時代、人民論、生物学的進化論が流行る。中国人は弱種なので強種になろう→救国の道→体育としての武術の再発見・再評価→「国術」に
    • 強身(武術訓練)→強種(人種改良)→強国
    • 公的価値
    • 反発
      • 地方の門派(私的利益が欲しい)
      • 文化人による批判
    • 応用性のみ重視し、全国運動会(日本でいう国体のようなもの)で武術性の強い種目(散打など)が排除されていく
    • 誰の、何のための武術か?

中国武術の競技化における衝突と変遷 ― 1895年から1945年を事例に

荘嘉仁先生

  • 清代には「武科挙」により武術で官職につくことができたが、袁世凱による軍の様式化(1895)の後、1898年に廃止された
  • 義和団事件(1900)でも中国武術の実用性に疑問が持たれた
  • 武術は「体操」として扱われていく(このあたりから、上の池本先生の話と被る点は割愛)
  • 全国運動会では、第5回にはあった散打(拳・器械)競技が、第6回(1935)から無くなっている。摔角(シュアイジャオ/相撲的な種目)や弓、套路の表演は残っている。

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荘嘉仁先生のスライドより。全国運動会の種目には弓もあった模様

中国散打競技の38年

鄭旭旭先生

  • 中国武術は「套路」と「対抗」がある。対抗の中にも種目がある
    • 短兵(剣を模したもの)
    • 太極拳推手
    • 散打
  • 中国の「戦後」は1949年(日中戦争→内戦の後)。以降、改革開放(1978)までは套路しか行われていなかった。
  • 1979年から散打競技の模索を開始
  • 散打は、今ではすでに成熟した国際性競技種目になった
  • スポーツビジネスとしてはまだうまくいってないが、今後発展させていきたい

韓国の武術における武術性の問題

朴周鳳先生

  • 韓国の武術はほとんど戦後のもの。戦前からのものは少なく、「テッキョン」「シルム」くらい
  • 近代武術:テコンドー(空手がベース。命名(1956)、独自の型(1966)、ルール改正などを経て今の形に)
  • 伝承武術:テッキョン
    • 重要無形文化財(1983)。しかし原型の問題がある
    • 1972年には11の技しかなく、重要無形文化財に採択されなかった
    • 1982年、100以上の技、型の創作などが加わり、採択された
  • 復元武術:18世紀の史料(兵法書)をもとに復元
  • テコンドーは、「する」から「みる」へ。テコンドーパフォーマンス(K-Tigersなど)、ノンバーバルパフォーマンスなど。

時間が押したため、このセッションの討論は省略。

招待講演2:The actual utility on martial arts in Europe

マサリク大学のデンコー・レグリ(Zdenko Reguli)教授

  • ヨーロッパにおける武術は、騎士道、フェンシング、レスリング、ボクシング、そして日本武道(西洋・日本からの渡航者によってもたらされた)
  • フランスに嘉納治五郎が来訪したのが1889年。その後、1900年前後に相次いて各国に柔術・柔道のスクールができた。
  • 合気道は、仏・英には1950年代、チェコは1990年に最初のクラブができた
  • 競技的なコンバットスポーツ、護身術、武道はそれにとどまらない
  • 生物学的、心理的社会学的、ノーロジー
  • 継続的に、終わりがない。子供、若者、大人、老人
  • オープンでグローバルな社会で武道は進歩する
  • ヨーロッパにおける武道の未来のために
    • 道教師の育成
    • 異文化交流
    • 普及のための新しい方法

パネルディスカッション:現代社会における武術のフロンティア:継承と維新の弁証法

武道具マーケットの縮小とそのグローバルな再生プラン

武道具店『粋陽堂』の横地浩紀先生、池本淳一先生

  • 刀匠は、登録200人、実働50人ほど
  • 木刀職人は、4人(=4社)。すべて宮崎県都城市、10年以内に2社は廃業予定
    • 全国の需要の99%をまかなう
    • 機械化されておらず、ノギスで測り、カンナで削ってる
  • 材料の樫の木は2年くらい前に絶滅*1。あと50年くらいで作れなくなる
    • 新たに育てようとしているが、生育に100年、乾燥に50年かかる
  • 単価も安く、後継につがせて苦労させたくない。自分も早く引退したい

ニューメディア・セミナー文化と武術

高無宝良先生

  • 大きな組織に属していないので、SNS、主にTwitterFacebookを使って海外含めた武術家と交流している
  • 海外の中高年:空手・柔道が普及した世代。武術映画。ニンジャが好き。
  • 海外の若年層:マンガ、アニメ。ニンジャが好き。
  • SNSのメリット:特に若い人、ライト層に宣伝しやすい
  • デメリット:あまりやる気のない人、気軽な気分の人が来やすい。中高年層に訴求しない
    • 情報漏えいの恐れや、伝統武術を詐称する団体も

武術と観光・地域

池本淳一先生

  • 若年層減少、高齢者増大。スポーツ人口も同じ傾向
  • 種目にもよる。サッカー、マラソンは増加傾向
  • 武道は減少、15-19歳が希少、20代激減(学校を出たら辞めてしまう)
  • 地方は人口流出 → 消滅可能性都市
  • 武道も消滅可能性の高い種目
  • 地元道場の衰退。コミュニティとの断絶
    • 「まちづくり」に貢献することで改善できないか?
    • 自主財源、国内外ネットワーク、アイデンティティ → 観光がやっていること
  • 事例

コメンテーターからの質問

  • 見る側、やる側。90年代に格闘技が流行ったけど、やるひとは余り増えなかった。観光資源だけではやるひと増えないのでは?
    • まずは情報発信
    • 見る人は見る止まり。敷居を下げる努力が必要。一般人の武術に対するイメージは「きもい」「こわい」
  • 学校の体育祭でカンフーの集団演武をやろうとしている例がある。学校体育へのアプローチは?
    • 体育祭などにからんでいくのはアリでは
  • SNS、情報のコントロールの件
    • 武術の秘密性。江戸時代は藩の戦力であり秘匿したが現代では余り無いはず。ほかに、相手の人格(危ない技を教えてよいか)も
    • AIの発達で人間の活動分野は減る。武術の持つ、内部に向かって掘っていく方向性は人間独自のものとしていいと思う
  • 木刀の値段について
    • 道家はお金を出さないが、オタク、外国人は5倍くらいでも買ってくれる
    • 新素材は今のところ実用的なものがない。並行して検討しつつ、樫の木を植えるしか無い
  • 中国武術をやるひとが減っている印象がある
    • 知りたいだけの人は多いが、なかなか取り込めない
    • 術を学ぶだけでなく、人、国、など文化を学ぶところまで行き着かない。そこを情報発信でなんとかならないか
    • ネットなどで情報(動画など)が増えてるが、質が下がっている。また見る側も無批判に持ち上げる傾向があり見る目が下がっていると感じられる(昔は批判コメントがたくさんついた)。ちゃんとした情報も出していけないといけない

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[9/15追記] Twitterで教えていただいたのですが、宝蔵院流槍術でも樫材の調達は問題だそうで、自ら植林するなどの取り組みと、またそのための募金を募っているそうです。 http://www4.kcn.ne.jp/~hozoin/161031syokujubokin.htm

所感

自分は主に古武道・伝統武術なので「スポーツ化」に直面しているわけではないのですが、他国の武術もふくめてスポーツ化の問題や、伝承についての問題(過去も未来も)について考えることは多いので参加しました。

単純に「明治の廃刀令が」「戦後の武道禁止令が」ではなく、武術・武道の成立から順を追って考え直す良い機会となりました。難しい問題であることに変わりはないですが、引き続き考えていきたいと思います。

中国伝統武術については、文化大革命による離散・衰退があったくらいの知識だったのですが*2、戦前から色々あったのですね。

その他にも色々と興味深いお話が聞けたほか、演武、昔の武具の展示などもあり、とても有意義な会でした。主催・関係者ならびに登壇された先生方、ありがとうございました。

参考

近代日本の武道論: 〈武道のスポーツ化〉問題の誕生

近代日本の武道論: 〈武道のスポーツ化〉問題の誕生

日韓「剣道」: KENDOとKUMDOの相克と未来

日韓「剣道」: KENDOとKUMDOの相克と未来

中国武術史 ― 先史時代から十九世紀中期まで ―

中国武術史 ― 先史時代から十九世紀中期まで ―

*1:木刀用の生木は全て伐採し尽くしたという意味。乾燥工程のものが50年分あるだけとのこと。[9/13追記]

*2:『近代中国における武術の発展』を積んでいることがバレますね…

『ヨーロッパの正統な中世ドイツ剣術 西洋剣術入門 両手剣ロングソードの使い方』レビュー

キャッスル・ティンタジェル城主であるジェイ・ノイズ師による実演と解説DVD。Amazonでは品切れで割高ですが、出版社直販なら定価で買えます。

babjapan.tp.shopserve.jp

武術に限らず「入門」というジャンルは難しく、特に「どこから」「どこまで」書くか(DVDなので"撮るか"?)が問題で、つい基本・常識と思っていることを端折ってしまったり、また逆に基本に寄りすぎて面白みを削ぎ落としてしまったりされがちです。

その点、本DVDは、まず中世ドイツ剣術の特徴・エッセンスの紹介を多めに取り、次いで立ち方、歩法、剣の持ち方を丁寧に説明してから構えや技の紹介に入ります。 所々、日本刀や日本の剣術との違いという観点で説明されていたり、正面からの絵だけでなく側面や相手の視点からの映像があったりと、とてもわかりやすく感じました。

また、終盤ではアドバンスレベルの技としてディスアームやレスリング的なもの、スパーリングのルール、鎧の種類による有効な技の違いの紹介もあり、充実した内容でした。

以下、ドイツ剣術・ロングソードの特徴的な部分を中心にメモ。

Chapter 1: ドイツ剣術ロングソードについて

  • ロングソードの技法は、14世紀ドイツのヨハネス・リヒテナウアー(の弟子の残した書物)から。17世紀に失伝したが、20世紀にインターネットを通じて世界中で研究が進み復元されたもの。
  • 一般に思われているような力で叩き合うものではなくテクニックがある。映画やフェンシングと違い、防御・攻撃の2モーションでなく、攻撃と防御を同時に行なうシングルタイムアタックが特徴。
  • レスリングの技術も剣術の範疇
  • バインド*1で相手の剣をコントロール、相打ちを避ける
  • 剣は体の中心でなく外側に構える(後で出てきますが、日本剣術で言う八相や脇構えに近いものはあるが、正眼のようなものは無い)
  • 両刃なので、フロントエッジだけでなく、バックエッジを使う技もある
  • 日本刀と違って、重心が刀身の腰のあたりにある(この差は技にあらわれます)

Chapter 2: 足さばき

  • 史料に出てくる上級者向けの立ち方も紹介した上で、初心者が練習するために、より腰を落として足先を開いた立ち方を基本とする
  • ただの歩法でなく、移動しながらの斬撃にもつながるため重要だと強調

Chapter 3: グリップ

  • 右手親指は刀身のほうに立て、エッジの向きを変えるのに使う

Chapter 4: 基本の構え

  • 構えは静止したものではなく、動き(技)の起点と終点の姿勢である、という考え。さらに、終点は次の技の起点でもあり連続していく。
  • リヒテナウアーの構えは4つ。フォンターク(屋根から)、オックス(雄牛の角)、プフルーク、アルバー(愚か)
  • 弟子のリンゲックが追加したもの*2のうち2つ。シュランクフート、ネーベンフート

Chapter 5: 基本の斬撃

  • 当時の剣術指南書から復元しているため、どうしても奥義のような技が多くなる。なので、基本技は手に入る資料をもとに再構築して教えている

Chapter 6: 達人の斬撃(マイスターハウ)

  • カリの人向け:
    • ツベルクハウ:横向きのアバニコ
    • シールハウ:縦向きのアバニコ

Chapter 10: ヴィンデン(巻き)とバインド

  • カリの人向け:
    • フィデュル・ボウ:スネークなディスアーム。刀身に腕を巻きつけて、十字鍔を握って無力化。

Chapter 11: 鎧を着ない戦闘の基本ルールと実践例

  • スパーリングのルールを紹介。頭と胴へのヒットは2点でそのラウンド勝利、腕・足は1点
  • 攻撃がヒットしても、そのままの体勢から一回だけ反撃できる。反撃がヒットすれば相打ち。これは例えば自分の頭部を晒して相手の足を攻撃するといった無謀な攻撃で勝てないようにするため。
  • アドバンスルールでは、頭と胴へのヒットが3点となり、相対的に腕・足のポイントが下がる。パンチ、キック、レスリングを使えるといった違いがある

Chapter 12: 鎧無し・軽装鎧・重装鎧の戦闘術の違いについて

  • プレートに対して、左手で刀身の中央を掴んで使う「ハーフソード」の技術。手槍のように使って、鎧の合間を突いたり、レスリングで倒したり。

参考

nowsprinting-ma.hatenablog.com

*1:うまく表現できませんが、鍔迫り合いのような(でも異なる)、剣を接触させた状態・技術

*2:このように出自を分けて教えてくれるのはとてもありがたい